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2011-06-23(Thu)

短詩集

■逆さ傘を舟に死児は濁流を下り翌晩には母へかえる

■裸木に垂れ掛かるコンドームの底にとぐろつくりて御供のごとく日照りつく

■教室の淵くらき時代に横たわる捩切れの神仏

■頭中に止まぬ降雪の消えゆき海上に鳴り響く弔いのサイレン

■みなそこの水草の手にわたり人の一生ほど帰ることなく奇麗なままの顔

■いきり冷めぬ舗道つつじに見紛う轢断されたるはらわた

■鬱血したトラウマの表部シンと張り詰めて確かな神の孵える前

■無駄花に仄か残り火の尾「死にたい」が侵食していた二月の逆夢

■仏間に掛けられし遺影の不気味さは我が血中に漂流の存在

■視線にあてられた君の嘔吐した水晶体が陽射しを散らす正午

■羊水に満たされた排水管に受命なき兄の残滓ゆっくりと沈む

■呼吸器の管に詰るガラスケースに展示されていたのは拒食のドレス

■食器棚の後ろであの頃の傷は今も血を流し続けている

■独り悩む静けさが何もかも塞ぐ呼吸困難の夜

■逝去の際かげ深くに開いた病巣の真珠色

■括り付けられた頭髪越し冬空に咲く女郎蜘蛛

■ステンレスの解剖器具に映りこむ夜の闇へ降りしカミ

■ステンレス製の手術器具に映る夜にふりし神授

■頭を二つ持つシメントはまだ無意識の胎膜に包まれて留まっている

■日没返り内出血かの海面の色具合が君ひとり残す

■心臓の厚い皮をめくり埋み火にたかる唖の蛆

■屍体性愛の胎の暗闇に為すことのない精子達は尾を静めて何かを待つ

■鋏と婚約のあの人に定められた惨死の一夜

■沼底の亡き骸に気付いた頃、毛布に籠る薄明

■シンクにぬかるみの胎児、顔の半分と気配なく

■猛禽の爪に絡まりし千切れ乾いた白髪は剥製より命はなし

■盲者にじっと見詰められながら僕は踏み切りの中で青空に殺された

■マニキュアのわずか剥れた爪の内側から覗いている眼
紙飛行機の先が刺さった不運以前の眼

■電線に絡みついた実体を見上げるゆめまぼろしの朝

■暗き階段に広がる星雲、二階には空の子供部屋

■見知らぬ土地の浄水所、思い寄せた漂泊の長髪

■温室の花々に紛れた身心の砕ける音を聴きし静夜

■喪服の群れ避け火葬の窯そっと忍び込む残された恋人

■身体を失くした宇宙飛行士、想いだけ残る彗星の尾の中

■全ての街路樹の膨れ上がった予知夢 狭間で回り続く電気メーターは黙っている

■心読む級友が見せてくれた狂人の映像

■草原に響き聞こえる希望に取り憑かれた僕の発作

■青緑の炎をあげて燃え続く夜間監視カメラが見ている夢

■美しい母に塗り潰された幼年の細部

■恋人達の繋ぐ手の中に錆びて立っているかの様な草花

■かたわの労働者の影が移って行くコマをとばした様に

■朽葉色の陽が劣化させてゆくプラスチックの胸

■あの十字路は墓、あなたが僕を通り抜けて行ってしまった時

■風の湿り気に含まれたくぐもり声ふるく痛き寂しさ

■氷雨に枝垂れ行く植物の体しみ入る生とその陰り

■獣姦の子、無機質な名を貰い生まれ行く死に行く

■眠りの入り口に爛れる思考、耳鳴り爪立て食い入るは昔見た夢一片

■雨夜に還る、献花抱くセロハンに写り滲む反射光の中

■帰りみち憶え朽ちて雨ざらしの自室と病のからだ

■呪いの残骸は暮れにまぎれて知る人なく息を閉ざす

■幼い裸身に密生する痛ましさ罪悪を根にする花の首落とす

■月面のリビングデッド孤独が堪る宇宙服にヘルメットへ映る無痛の星座

■皮下に蠢く想い奇形の花撫で
虚ろなひかり殖て煎り付く夢の内側

■世界の表面は喜んでいる人と傷付いている人
そのコントラストで彩られていて
万華鏡みたいにキラキラと表情を変えて行く

■もう一人の自分がいる、それは何処か海の底に立っている
暗い深海に、静かに立ち上る緑炎の火柱
そいつがもう一人の僕だ

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かく撃ち抜かれたる兵士の眼

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